5.宝物・名品
メトロポリタン美術館に所蔵される中世大和絵屏風。竹をテーマとし、ナズナや筍、雪などの景物を配して四季を表現している。制作年代は15世紀後半から16世紀前半とみられ、土佐派の絵師、特に土佐光信によって制作されたと推定されている。
メトロポリタン美術館に所蔵される金地の六曲一双屏風。右隻に『保元物語』、左隻に『平治物語』の内容を描きこむもので、「合戦図屏風の最優作」とも評価される。作者は不明。制作年代については慶長五年(1600)から慶長十五年(1615)とされるが…
甲斐源氏武田氏の祖である源義光(新羅三郎)から伝来したとされる鎧。安芸武田氏の重物。安芸武田氏滅亡後に大内氏の手に渡り、大内義隆によって厳島神社に寄進された。
安芸国の有力国人・毛利弘元が厳島神社に奉納した太刀。備前長船の刀工・国真の作。刀長106.6センチメートル。文献では野太刀と称される大太刀に該当する。
小早川隆景が厳島神社に寄進した太刀。「劔来太郎源国俊」の銘をもつ。刃長は74.6センチメートル。
備後一宮吉備津神社に伝えられた太刀。尾道で活動した刀工・五阿弥長行が制作し、天文二十四年(1555)に寄進された。毛抜形太刀と呼ばれる平安期の様式の模古作とみられ、舞楽の際に使用されたと考えられている。
20世紀前半、イタリアの僧院で発見された書物。15世紀から16世紀ごろに作成されたとみられるが、未知の文字で記述されており、挿図には未知の植物などが描かれている。神聖ローマ皇帝の蔵書となった後、17世紀に入って錬金術師や学者たちがその解読…
スペイン王フェリペ2世の国王地理学者であったクリスティアン・スクローテンによって製作された地図集。ペンとインクで手描きし、そのうえに水彩絵の具で彩色した37幅の地図が収録されている。
雪舟等楊筆の山水図の巻子。跋文部分を含めた全長は4.51メートル。雪舟が「画本」(絵手本)を求める弟子の等悦に描き与えたものとされる。前半は雪舟の真筆だが、後半は後世の画家の手による雪舟画の模写となっている。
足利義政晩年の邸宅・東山殿の東求堂(持仏堂)内部の襖に描かれた襖絵。足利将軍家の御用絵師・狩野正信によって制作された。将軍の側近でもあった禅僧・亀泉集証の日記『蔭涼軒日録』に完成までの経緯が詳しく記されている。
イエス・キリストが磔刑になった際にキリストを刺したとされる槍。この槍を持っていたローマ兵士の名前から、ロンギヌスの槍とも呼ばれた。
神聖ローマ帝国の「帝国宝物」の一つ。穂先の鉄の刃には、縦の孔が穿たれ、そこに釘の形状をした金属が嵌め込まれている。これはキリストを十字架に打ち付ける際に用いられた釘(聖釘)の一つであるとされていた。時に聖マウリティウスの槍とも、コンスタン…
蠣崎(松前)氏の家宝として近代まで伝世された硯。3世紀、中国の後漢末の有力者・曹操が建立した銅雀台の瓦と伝えられる。北方のアイヌを経由して15世紀の蠣崎氏の手に渡ったという。
奈良の法隆寺に伝来した白檀二点の香木。『正倉院御物棚別目録』に、蘭奢待(黄熟香)や全浅香(紅沈香)と記された沈香木と並んで、天下の名香に数えられてきた。
1546年(天文十五年)にヴェネチアで刊行された世界地図。ヴェネチア共和国を代表する地図製作者ジャコモ・ガスタルディにより作成された。
源頼光による大江山の鬼退治を描いた絵巻物。全三巻。相模の北条氏綱によって企画され、大永三年(1523)頃より制作がスタートした。
中国の禅僧画家・牧谿法常の筆によって描かれた墨絵。牧谿は室町・戦国期の日本で高い評価を得ていた画家であり、その絵は唐絵の最高のものとして珍重された。
中国南宋の張九成によって著された儒書。宋代の刊行本が唯一、京都東福寺に現存している。端麗な宋版の実例としての書誌学的価値から、国の重要文化財に指定されている。
『仙仏奇踪』は、中国明朝の儒学者・洪応明が万暦三十年(1602)に編纂した唐本。四編からなる。一つは仙人六十三人の伝記とその図像からなる「消搖墟」。一つは仏祖六十一人の伝記とその図像を載せる「寂光境」。一つは道教経典や道士の語録などからの…
毛利家臣・児玉元良が所持していた脇差。元亀三年(1572)四月、元良から厳島神社に寄進された。 来歴 厳島神社の宝物 参考文献 来歴 児玉元良が厳島社家野坂房顕に宛てた寄進状によれば、元々は室町幕府管領・細川高国が所持していたものらしい。その後…
刀長70.8センチメートルの太刀。新鬚切との号が伝わる。吉川元春の子、元資(後の元長)から厳島神社に寄進された。 備中国青江派包次の名刀 厳島神社の宝物 参考文献 備中国青江派包次の名刀 銘は「包次」。包次は鎌倉初期(13世紀前半)、備中国青江…
中国南宋の画僧・玉礀(ぎょっかん)によって描かれた墨絵。中国の洞庭湖に注ぎ込む瀟水と湘水の周辺の山水自然を、水墨の濃淡で描いた「瀟相八景図」の一景。
戦国期に「天下一の名物」とうたわれた唐物茶入。村田珠光が買い求めた時の価格が九十九貫だったので、『伊勢物語』の「百年に一とせ足らぬ九十九髪我を恋ふらし面影に見ゆ」を引いて銘としたとされる。
戦国期において「天下無双ノ名物」とうたわれた葉茶壷。いわゆる「東山御物」の一つ。
緑水色の青磁の茶碗(青磁輪花碗)。高台周りのひび割れをホッチキスのように鎹(かすがい)で留めて修理してある。張りのある曲線を描いて立ち上がる姿の優美さ、わずかに緑をふくんだ青磁釉の美しさを持つ。