戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

2.交易品-西アジア

パールーダ Paluda

ペルシャ(イラン)発祥の菓子。アラビア語に入りファールーザジュと呼ばれた。でんぷんや豆粉に蜜や砂糖を加えに詰めたもの。冷まして大皿に盛り酥脂(バター類)をかけて食べられた。中国にも伝播し「八耳搭」と呼ばれた。

ハリーサ Harisa

肉と小麦粒を煮込んだ粥。中世のイスラーム世界において宮廷の宴会料理として料理書にみえる。またスーク(市場)でも常設店での出来合い料理として提供されており、都市民のごちそうとして親しまれた。元朝時代の中国にも伝播している。

イトリヤ Itriya

細長いパスタ。地域や形状によっては、リシュタとも呼ばれた。10世紀から16世紀にわたってマシュリク、マグリブの文献に記載がある。12世紀にはシチリア島産のイトリヤがイタリア半島や中東各地に輸出されており、菓子や煮込み料理に使用された。

トゥトゥマージュ Tutumaj

四角形や円形に切った餃子の皮のような小麦麺。あるいはそれを用いた料理を指す。元代の中国では「禿禿麻食」あるいは「禿禿麻失」と表記された。茹でたトゥトゥマージュに、ニンニクとミント入りヨーグルトをかけた料理などが知られる。

ラスター彩陶器  luster ware

9世紀にアッバース朝支配下のイラクで生まれた白濁釉陶器。ガラス器製作の技術を応用し、金属器の光沢を放つことが特徴。中近東において長らく最高級陶器としての地位を占めた。またムスリム商人によって東アジア・東南アジアにまでもたらされた可能性があ…

キュタヒヤ陶器 Kütahya ware

アナトリア西部のキュタヒヤで作られた陶器。遅くとも15世紀末までには生産が始まっていたとみられる。同じくアナトリア西部のイズニクと競合しながら発展し、18世紀初頭までに陶器タイルの分野でイズニクのシェアを奪うに至る。

イズニク陶器 Iznik ware

アナトリア西部のイズニクで作られた陶器。15世紀から生産がはじまったとみられ、16世紀中頃までには、宮廷の嗜好を反映するかのように華麗な作品が作られている。また同世紀後半からは建造物に使用する陶器タイルに生産の比重が移った。江戸初期には日…

乳香(南アラビア) にゅうこう

ムクロジ目カンラン科ボスウェリア属の樹木から滲み出る樹脂。アラビア語ではルバーン(lubān)と呼ばれる。その生育地は、南アラビアや対岸のソマリア、ソコトラ島にほぼ限られる。香料や薬として広く用いられた。

ギー(イエメン) ghee

ギーとはヒンディー語で、牛や羊、山羊の乳から作られるバターを熱して不純物を取り除き、冷ますことで得られる純度の高い油脂を指す。現代では清澄バター、澄ましバター、あるいは単に調理用バター、バター油脂とも呼ばれる。

ナビーズ(イエメン) nabīdh

ブドウやナツメヤシから作られた発酵飲料、あるいは酒。イエメン・ラスール朝では砂糖や蜂蜜などの甘味料も加えられた。イスラームにおいては忌避されていたが、中世のイエメン(南西アラビア)では広く普及していたらしい。

スービヤー sūbiyā

小麦粉から作られる発酵飲料。酒に分類される場合もあった。また米や米粉から作るスービヤーもあった。イエメンのラスール朝では、甘味や香味が加えられたものが宮廷で飲用されていた。

フッカーゥ fuqqāʾ

大麦から作られる発泡した発酵飲料。発酵作用により、わずかながらアルコールを含有していた可能性がある。イエメンのラスール朝では宮廷でも飲用されていた。

ペルシア絨毯 ぺるしあじゅうたん

ペルシア(イラン)産の高級絨毯。宮廷工房を中心とする都市の工房で作られた。優れた素材を用い、高度な技術とデザインを持つ職人の手によって織られ、洋の東西で高く評価され、珍重された。