戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

2.交易品-01.一般

蘇 そ

牛乳を濃縮して作られた乳製品。全粉乳のようなものだったと推定されている。古代から中世前期に生産され、薬、あるいは仏教儀式における施物等として用いられた。

玉蜀黍 なんびんきび

中米を原産とするイネ科の穀物。トウモロコシ。16世紀後半にヨーロッパ経由で日本に伝来したとみられる。日本では玉蜀黍と表記し、ナンバンキビあるいはタマキビと呼ばれたが、関東ではトウモロコシと呼称されるなど、地域によって様々な呼び名があった。

大石火矢 おおいしびや

戦国期、後装式の大砲である仏郎機砲は石火矢と呼ばれたが、17世紀初頭、オランダから移入された前装式の大型砲は「大石火矢」と呼ばれた。その大きさは従来の石火矢(仏郎機砲)と隔絶するものだった。ただし大型の仏郎機砲を指して「大石火矢」とする場…

石火矢 いしびや

戦国期、日本で使用された大砲。日本では「石火矢」と呼ばれた。一方で史料上には「小筒」「大筒」あるいは「大鉄炮」があり、これらの違いについては不明。ヨーロッパから伝来した仏郎機砲とみられるが、中国的な火炮や大型の火縄銃を意味している可能性も…

木鉄砲 きてつほう

砲身を木で拵えた木砲。木筒とも呼ばれた。16世紀中期の中国明朝では日本の「木銃」の模造が図られていた。江戸期の軍記物『南海治乱記』では、木鉄砲は伊予河野氏から始まるとする。

蕎麦 そば

穀物のソバ、およびソバの実を原料とする蕎麦粉を加工して作られる料理。日本では古くから救荒作物として栽培された。こんにち一般的な麺状の蕎麦切りは、16世紀後半には存在していたとみられる。

南蛮筒 なんばんづつ

戦国期、海外から直接移入された鉄炮。当時は有力者間の贈答品としても珍重された。 南蛮鉄炮とも表記される。

イルカ いるか

イルカは小型の鯨類であり、日本近海にも生息するため、古くから(考古学上では縄文期にも遡るといわれる)利用されてきた。中世、珍重された食材の一つであり、贈答品や饗応の際にも用いられた。

鯨 くじら

鯨は古くから知られた大魚であり、平安期の『和名類聚抄』には「いさな(鯨) 」としてみえる。 鯨食が本格化したのは中世以降。貴重な高級食材であり、貴人の間での饗応や贈 答に用いられた。浜に打ち上げられた鯨を捕獲するだけでなく、銛による捕鯨も 一…

川獺 かわうそ

日本では環境省によって2012年に絶滅種に指定されたが、かつて川獺は九州から北海道まで全国に生息していたという。戦国期には食材としても用いられた。

狸 たぬき

中世、狸は日常的に食べられていた。特に酒の肴として中央、地方を問わず好まれていたようである。

卵 たまご

中世の日本では卵を食べるという行為は、禁忌に属するものだった。ところが17世紀前半には、料理本に卵料理が紹介されるに至る。この変化の原因の一つには、16世紀後半にヨーロッパ人が卵を食べる文化を持ち込んだことがあるといわれる。

トウガラシ(日本) とうがらし

トウガラシは紀元前8000年〜7500年には、ペルーで栽培が始まっていたといわれる。その後、15世紀末のコロンブスクリストバル・コロン)によるアメリカ大陸到達を契機にヨーロッパにも知られるようになった。日本への伝来は諸説あるが、16世紀末…

松茸 まつたけ

アカマツの根に生える食用キノコ。発生時期は秋頃。梅雨頃に生える季節外れの松茸は早松(さまつ)と呼ばれる。日本では古くから高級食材として珍重された。

赤米 あかごめ

南アジア原産で、中世以降に日本(特に西日本)での栽培が確認される米の一種。現在のベトナムにあったチャンパ(占城)から11世紀に中国の華中・華南に導入されたイネの系統といわれる。日本では大唐米とも呼ばれ、長粒で玄米の色は白と赤があったが、多く…

羊羹 ようかん

小豆と小麦粉または葛粉と混ぜたものを蒸して作られたお菓子。いわゆる蒸し羊羹に近いものだったといわれる。室町期ごろから、点心の一つとしてみえ、御成・饗応の席などでしばしばお菓子として用いられた。

甘葛 あまづら

深山に自生する蔦(つた)の一種。もしくは、この蔦の樹液を集めて煮詰めて作られたシロップ状の天然甘味料。日本では砂糖の本格普及以前の甘味料として重宝された。

焔硝 えんしょう

硝酸カリウムを主成分とする鉱物。硝石。鉄炮の火薬(玉薬)の材料として、炭、硫黄とともに調合された。戦国期、日本国内の焔硝の需要は主に海外からの輸入に依存していた。一方で焔硝の抽出方法は知られており、国産の焔硝も一部使用された。 鉄炮伝来と玉…