因島村上氏の当主。官途名は備中守。吉充の父。村上備中入道の子か。因島の地頭職を獲得するなど同氏の基盤を固めた。
金蓮寺薬師堂の建立
文安六年（１４４９）八月、宮地資弘が大願主となって因島中庄の金蓮寺に薬師堂が建立された。その際の棟札に「領主村上備中守源吉資」の名がみえる。
伊予争乱への関わり
この年の六月、吉資は伊予守護・河野教通に味方して、伊予国越智郡の佐礼城を攻略。松岡らを討ち取り、頸８つを教通に届けて、賞されている。当時、河野氏は惣領家の教通と庶子家の通春が、それぞれ幕府の有力者である畠山持国と細川勝元の支援を受けて抗争していた。吉資は河野教通や幕府の要請で、戦列に加わっていたものと思われる。
一方で、享徳二年（１４５３）五月、吉資は河野通春の帰国に尽力したらしい。幕府管領・細川勝元が、吉資を賞している。これは因島村上氏が、伊予への航路を警固したことについて出されたものと推定される。吉資が両勢力の狭間で、優勢・有利とみられる方へ加担していることが窺える。
因島地頭代官職の獲得
本拠の因島では、寛正三年（１４６２）三月、吉資は因島を荘園とする東寺から因島地頭代官職に任じられた（「東寺百合文書」）。因島東寺領は長禄二年（１４５８）四月の段階で小早川氏や杉原木梨氏が、それぞれ中庄・三庄と重井庄で押領を働いていた。吉資には、彼らの排除と年貢の京進が求められたと思われる。
因島村上氏は、この吉資の代で公式にも因島の支配者と認められる存在となった。
参考文献
