戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

白井 親胤 しらい ちかたね

 安芸白井氏当主。加賀守。光胤の父。武田氏の被官。近世の「萩藩閥閲録」に記載された白井氏家譜に挙げられた歴代当主の内、史料上で確認できる最も古い人物。

安芸白井氏の権益

 明応四年(1495)十月、武田元信は白井光胤に対し、父親胤の「安芸国仁保嶋海上諸公事」と「同(仁保嶋)飯山後浦悉大河迄」ならびに「府中散在分古市村等事」を相続することを安堵している(「岩瀬文庫所蔵文書白井文書」)。

  「仁保嶋海上諸公事」とは仁保島周辺海域を航行する船舶からの「公事」(通行料)徴収権とみられる。「飯山」、「後浦」、「大河」は仁保島の地名。これらのことから、当時の仁保白井氏が仁保島を拠点にして既に周辺海域を支配していたことがうかがえる。

 なお、光胤への安堵状が発給されているということは、親胤はこのとき既に隠居ないし死没していたと思われる。

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参考文献

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仁保嶋城二の丸跡から眺めた広島の町と瀬戸内海。写真の市街地も中世はほとんどが海。親胤ら仁保白井氏はこの海域を航行する船から「公事」を徴収した。