黒川隆尚（宗像正氏）家臣。天文十年（１５４１）正月の厳島鳥居沖の海戦で活躍した。
友田興藤の蜂起
天文十年（１５４１）正月十二日、元厳島神主・友田興藤が大内氏に叛旗をひるがえして蜂起。厳島は興藤方に占拠され、「興家三家」（能島・来島・因島の村上氏）の海賊衆も興藤に加勢するため厳島に集まった。
同月十五日、警固船２００～３００艘からなる大内警固衆が黒川隆尚に率いられて出陣。虚をつかれた村上勢は３０艘余りが急いで乗船して迎撃に向かい、鳥居の沖で合戦となった（「棚守房顕覚書」）。
黒川隆尚の感状
数で勝る大内警固衆は村上海賊衆を圧倒し、村上勢は退却。彦太郎は船中で左手に傷を負いながらも能く矢を射かけたとして、黒川隆尚から直接感状を得ている（「吉田ツヤ文書」） 。隆尚が直接に感状を発給していること、この感状が宗像氏重臣・吉田氏に伝来していることから、彦太郎は隆尚の家臣で宗像警固衆の一員であったと推定されている。
中村氏と吉田氏
「宗像記追考」は中村守道（天正十一年の連署状に署名がみえる）が吉田姓に改めたとしているから、彦太郎は彼の先祖かもしれない。なお、天文年間から永禄年間には鍋寿丸*1の家臣として中村尚道がおり、文書の発給等に関わっている。
