戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

陳 仏奴 ちん ぶつど

 中国明朝の浙江出身の人物。対馬の時羅が浙江を襲撃した際に夫の符旭とともに掠われ、時羅の妻とされたという。時羅が朝鮮を訪れた際に、同国の官人に救出され、明朝に送還された。

朝鮮王朝による被虜中国人の送還

 1417年(応永二十四年)九月、対馬の時羅(四郎)が「貿販」(交易)のために朝鮮の慶尚道富山浦を訪れた。これより以前、時羅は中国明朝の浙江を襲撃しており、その際に陳仏奴は掠われて時羅の妻とされ、陳仏奴の夫であった符旭は奴とされたという。

kuregure.hatenablog.com

 朝鮮の万戸・金従善は富山浦において、雑穀20余石で時羅から符旭を購入。さらに「陰誘」して仏奴を逃がすことにも成功した。朝鮮王朝は司譯院注簿・金仲渚に仏奴と符旭を引率させて遼東に派遣し、両名を明朝に送還した。

 翌1418年(応永二十五年)、宗貞盛の使者として朝鮮に渡来した時羅が、妻(陳仏奴)の返還を要求。礼曹佐郎の権克和が招賢駅にて時羅を迎え、「掠来男女」は遼東に送ったことを伝え、米40石を与えたところ、時羅は喜んだという(『太宗実録』十八年二月庚戌条)。

参考文献

李朝実録 : 太白山本 第35之36 国立国会図書館デジタルコレクション