戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

蔵田 紀伊守 くらた きいのかみ

 伊勢国御師。越後上杉氏の御用商人・蔵田五郎左衛門の一族とみられる。上杉氏から依頼され、同氏の使者の交通上の便宜をはかった。

上杉氏使者への便宜

 永禄十二年(1569)二月、上杉輝虎は蔵田紀伊守に対し、自分の使僧が東海道を上下するにあたって、その安全保障や便宜を求めている(「伊勢古文書集二下」)。文書の内容からは、紀伊守が以前から輝虎の使僧の便宜をはかっていたことがうかがえる。

  上杉輝虎がこのような依頼を行った背景には、上杉氏の御用商人・蔵田五郎左衛門や越後国糸魚川伊勢領の代官的立場にあった蔵田左京亮ら、蔵田一族の存在があったとみられる。彼らを通じて同族の紀伊守に連絡がとられたものと思われる。

参考文献

  • 永原慶二 「上杉領国経済と蔵田五郎左衛門」 (『戦国期の政治経済構造』 岩波書店 1997)

越佐史料 巻4 国立国会図書館デジタルコレクション