戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

陳 元明 ちん げんめい

 戦国末期、豊後臼杵に居住した渡来系の漆喰塗り職人。

陳氏の系譜

  「陳氏系図」によれば、永正三年(1506)に、陳李長が中国江蘇省揚州府から肥前に渡来。その子・覚明が、永正十二年(1515)に豊後府内に定住した。その後、陳義明を経て、陳元明の代で臼杵唐人町に移住したとされる。

 文禄二年(1593)の「豊後国海辺郡臼杵庄御検地帳」の唐人町名請人の中に、「大仏しっくい御免」の肩書きがついた元明の名をみることができる。元明臼杵唐人町に居住していたことが確認できる。

方広寺大仏殿建立への動員

  天正十六年(1588)、羽柴秀吉は島津氏や松浦氏、大友氏らを通じ、彼らの領内に居住する中国人、日本人の漆喰塗り職人を京都の方広寺大仏殿建立のために動員した。元明もこれに参加している。彼が高度な職人技術を有していたことがうかがえる。

 天正十七年八月、大仏は完成した。動員された職人には、秀吉の御朱印状が発給された。御朱印状の内容は大仏造立の褒賞についてであり、元明は「国役」と「屋敷御年貢」(屋敷料)の免除特権を与えられている(「陳文書」)。

 なお上記の「検地帳」で「大仏しっくい御免」の肩書がついた者は、他に徳鳳、九右衛門、平湖が記されている。彼らも元明同様の特権を得ていたものと思われる。

参考文献

  • 鹿毛敏夫 「戦国期豪商の存在形態と大友氏」 (『戦国大名の外交と都市・流通―豊後大友氏と東アジア世界―』 思文閣出版 2006 )