戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

勝浦 かつうら

 太平洋に面する房総半島東岸に位置する港町。戦国期、国人・勝浦正木氏の本拠となり、また廻船の発着する海運の拠点でもあった。

「大船の年貢」

 天文十一年(1542)十二月、『正木時忠勝浦年貢割付』によれば、「大船のねんく(年貢)」や「ほうちやう(舫丁)のねんく」が賦課されている。当時、勝浦に廻船が発着していたことが分かる。

伊豆との航路

 この廻船の航路を推定するものとしては、永禄十年(1567)のものと比定される六月二十七日付の北条氏政書状写がある。この書状では、勝浦城の正木時忠、時通に宛てて、「伊豆浦之船」が予定通り着岸したことについて確認がされている。また、矢や兵糧などの軍需物資の補給も約束されている。

 永禄七年(1564)頃、勝浦正木氏は、それまで属していた里見氏の陣営を離れ、北条氏に属していた。里見方との軍事的緊張の中での、北条氏による後方支援の約束であった。

 先述の天文十一年(1542)の史料とあわせれば、支援の背景には、伊豆-勝浦間に日常的な廻船航路が存在した可能性は高いと思われる。

参考文献