戦国日本の津々浦々 ライト版

港町から廻る戦国時代。そこに生きた人々、取引された商品も紹介します。

豹虎皮 ひょうとらかわ

 朝鮮半島中国東北部で狩られたとみられる虎や豹の皮。日本では行縢(むかばき)などに用いられた。

朝鮮国王から琉球国王への贈り物

 朝鮮国王から琉球国王への進上物として、何度か虎皮や豹皮が贈られていることが史料上にみえる。琉球国王は南海産の象牙や胡椒、蘇木などを贈っているにも関わらず、虎皮や豹皮は含まれていない。このことから、東南アジア産ではなく、朝鮮産の品物であるとみられる。

古くからの舶来品

  虎皮と豹皮は日本でも古くから知られた舶来品で、11世紀の『新猿楽記』にも「豹虎皮」とみえる。室町戦国期においては、贈答品として史料にみえる。例えば朝鮮交易を行った対馬の宗氏や山口の大内氏などは、各勢力や室町幕府に虎皮や豹皮を贈っている。

 また『天文日記』には天文十七年(1548)、大坂本願寺浅井長政に織色10端、唐木綿10端とともに虎皮1枚を贈っていることがみえる。虎皮には「代四貫」と注が付されており、その価格がわかる。

朝鮮からの輸入

  虎皮・豹皮は大内氏や宗氏など西日本の各勢力が朝鮮に遣使した際、同政府からの回賜品の一つとしてみえる。このことから日本側の入手経路は、外交ルートを通じての輸入が一つあったと思われる。

 また、先述の朝鮮・琉球間の贈答のうち、応仁元年(1467)四月の進上物は博多の商人・道安が対馬経由で輸送を担当している。民間の商人を通じての輸入も、当然あったものと思われる。

参考文献

  • 岸田裕之 『大名領国の経済構造』 岩波書店 2001